計算問題のコツ、「-」は引く?マイナス?


負の数の登場
小学校の算数では正の数しか扱わないので、小数であれ分数であれ、計算の結果も含めてすべて正の数だけしか出てきませんでした。いわば「正の数」だけの平和な世界で生活していたようなものです。ところが中学生になると、この平和な「正の数の世界」に新しく「負の数」が入り込んできて一騒動起きます。1年生の最初はたいていの生徒が「正負の数」の扱いで戸惑います。

小学校のように正の数だけの世界では「+」は足す、「-」は引くという演算の記号としての意味しかなかったのですが、中学校で負の数を扱うようになると、「-」は負の数を表す符号(マイナス)としての意味も持つようになります。それと同時に「+」(足す)を正の数を表す符号「+」(プラス)としても使うようになります。ここで大なり小なり混乱が生じるのですね。
今回は正負の数の計算の仕方を整理しながら、この混乱を少し分析してみたいと思います。基本をきちんと整理しておくことが、計算力を高めることに役立つはずです。

加法の計算の仕方
正負の数の単元では負の数の表し方を習ったあと、すぐに足し算の仕方を習います。
●正の数を足す計算は
(+3)+(+2)=+5
と書いて、数直線で結果を確認するように習います。
●負の数を足す計算は
(+4)+(-2)=+(4-2)=+2
●負の数のほうが絶対値が大きい場合は
(+4)+(-7)=-(7-4)=-3
というふうに計算の手順を習います。
ここで注意してほしいのは、この式では(74)の「」だけが「引く」で、他の「-」はすべて「マイナス」だということと、本来は足し算のはずですが、実際には引き算をしているということです。ここから小さな混乱が始まリます。

減法の計算の仕方
足し算の次は引き算の計算の仕方を習います。
●正の数を引く計算は
(+3)-(+2)=(+3)+(-2)
(+2)-(+3)=(+2)+(-3)と、いったん加法の式に書き換えます。
その後は先程書いた加法の計算のルールに従って計算をします。
●負の数を引く計算も
(+4)-(-2)=(+4)+(+2)
(+4)-(-7)=(+4)+(+7)
というふうに、いったん正の数を足す計算に置き換えて考えます。
このような手順を取ることによって、引き算も足し算のルールで統一的に計算できるようになるのですが、見て分かる通り、カッコの中の符号を変換しなければならないので、引き算は混乱を起こしやすいのです。

符号の変換の仕方を一般的な形で表すと下記のようになります。
□-(+△)=□+(-△)
□-(-△)=□+(+△)
「-」の記号の印象は暴れん坊でしょうか。我が強くて相手の符号(この場合はカッコの中の符号)を逆転させなければ気がすまないのです。あるいは、上の式では引き算の「-」がカッコの中に入ってマイナスの符号に姿を変えたとも見えますし、下の式ではカッコの中で「+」に化けて姿を隠してしまったようにも見えます。かなりの暴れん坊です。

加法と減法の混じった式の計算の仕方
加法、減法を習ったあとは、加法と減法の混じった式の計算を習います。まず、式全体を加法だけの式に変換して「項」の概念を把握します。
例えば
(+5)-(+2)+(-3)-(-7)を
(+5)+(-2)+(-3)+(+7)のように変形します。

減法の計算のときのように、カッコの前の「-」を「+」に変換して、カッコの中の符号を逆転させてやります。
この場合の+5-2-3+7が、符号も含めて「項」です。
さらに同符号の数を集めて、(+5)+(+7)+(-2)+(-3)
同符号の数の和を求めて、(+12)+(-5)=+7
と計算していきます。

項を並べた式の計算の仕方
「+」の記号は素直で従順なので、相手の符号を変えようともしないし、必要なときだけ姿を表して必要でないときは隠れていてくれます。つまり、上の式から加法の記号の「+」(先頭も含む)とカッコを省略することができるのです。そうすると、ただ項を並べるだけで、
5-2-3+7=5+7-2-3=12-5=7
と簡単に計算されます。この時の「-」と「+」はカッコの中で数字の前についていたものですから、正負を表す符号のマイナスとプラスですね。最後の12-5は「12引く5」ですが、「12マイナス5」なんですね。それでいて答えの7が求められます。「マイナス」は負の数を表すだけでなく、引き算の意味も含まれていると解釈できますね。

結局「+」「-」の記号には正負の数を表す「プラス」「マイナス」の働きと、「足す」「引く」の演算を示す働きの2重の機能があって、その都度、都合のいいように解釈して使い分けれはいいのですね。例えば、12-5は式を作るときは12に(-5)を足すという意味で式を作ったのかも知れませんが、実際に計算するときは単純に、12引く5と引き算で計算すればいいということです。

2重に意味があると、どちらに解釈したらいいのかややこしいところもあるのですが、考え方を変えると、自分なりの解釈でやりやすいように計算できるというメリットがあります。あいまいでどちらとも解釈できるからこそ、便利に使えるのですね。

分配の法則を計算する時に便利
もう少し具体的な例として、分配法則の計算の場合を考えてみましょう。
4(a-2)-3(2a-3)
前半の4をかける計算では「+」は素直なので、すんなりと4a-8と書けますが、後半の(-3)をかける部分は「-」は暴れん坊なので注意が必要です。計算の考え方として

①(-3)×(2a-3)を(-3)×{2a+(-3)}と考える場合
計算は (-3)×(2a)+(-3)×(-3)=(-6a)+(+9)=-6a+9

②(-3)×(2a-3)を(-3)×{2a-(+3)}と考える場合
計算は (-3)×(2a)-(-3)×(+3)=(-6a)-(-9)=-6a+9

③(-3)×(2a-3)を-(+3)×{2a+(-3)}と考える場合
計算は -{(+3)×(2a)-(+3)×(-3)}=-{(6a)+(-9)}=-(6a-9)=-6a+9

④(-3)×(2a-3)を-(+3)×{2a-(+3)}と考える場合
計算は -{(+3)×(2a)-(+3)×(+3)}=-{(6a)-(+9)}=-(6a-9)=-6a+9

このように計算の仕方、解釈は何通りもありますが、その都度、自分の計算しやすい方法で計算すればいいのです。ただし「-」は暴れん坊なので、「-」をかけるときや「-」がついたカッコを外すときには符号に十分注意しましなければなりません。特に
\(\large\frac{a-2}{3}\)-\(\large\frac{2a-3}{4}\)
のような分数の式を通分して計算する時になると、「-」が暴れん坊ぶりを発揮して符号のミスが目立つようになります。
今回まとめた「+」「-」の2重性と、「-」の暴れん坊に十分気をつけて、計算の精度を高めてほしいと思います。

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